マラソンは身体に大きな負荷をかけるスポーツであり、適切な食事が結果を大きく左右します。特にレース前の数日間でどのような量の食事を摂るべきかを理解することで、エネルギー切れや体調不良を防ぐことができます。本記事では、スポーツ栄養士の視点から、マラソン前に最適な食事量と具体的な実践方法を詳しく解説します。
目次
なぜ食事量が重要なのか?
エネルギー供給の基本
- 糖質
主なエネルギー源となる糖質は、グリコーゲンとして筋肉と肝臓に蓄えられます。糖質不足はスタミナ切れを引き起こすため、レース前に十分に補給することが重要です。 - タンパク質
筋肉の修復や維持をサポートします。ただし、消化に負担をかけない量に調整することが大切です。 - 脂質
少量で高いエネルギーを得られますが、消化が遅いため、適度な摂取が求められます。
過剰摂取のリスク
- 消化不良
食べ過ぎると胃腸の負担が増し、消化不良を起こす可能性があります。 - 体重増加
必要以上のカロリーを摂取すると、体が重くなり、レース中に負担が増します。
マラソン前の食事量の目安
1日の総カロリー摂取量は体重や運動量によって異なりますが、以下は一般的な目安です。
体重(kg) | 1日の推奨カロリー(kcal) | 糖質量(g) |
---|---|---|
50~60kg | 2,500~3,000 | 375~450 |
60~70kg | 3,000~3,500 | 450~525 |
70~80kg | 3,500~4,000 | 525~600 |
※糖質は全体カロリーの50~60%を目安に。
レース1週間前からの食事計画
6~4日前:通常のバランス食を維持
- 食事量の目安
炭水化物50%、タンパク質25%、脂質25%程度を意識します。 - 具体例
- 朝食:白ごはん1膳、焼き魚、味噌汁、果物(りんごなど)
- 昼食:鶏むね肉のサラダ、パスタ(トマトソース)、バナナ
- 夕食:玄米ごはん、野菜炒め(豚肉入り)、スープ
食材 | 必要量の目安 | 栄養ポイント |
---|---|---|
白ごはん | 150~200g | 糖質を中心に補給する |
鶏むね肉 | 100~150g | 高タンパクで低脂肪 |
果物 | 1~2個 | ビタミン補給と糖質補給 |
3~2日前:炭水化物を増やす
- 食事量の目安
炭水化物60~65%、タンパク質20%、脂質15~20%。 - 具体例
- 朝食:おにぎり2個、卵焼き、バナナ
- 昼食:うどん(薄味のだし)、焼き鳥、ほうれん草の和え物
- 夕食:スパゲティ(クリームソースは避ける)、かぼちゃの煮物、スープ
食材 | 必要量の目安 | 栄養ポイント |
---|---|---|
おにぎり | 2個(約200g) | 消化が良くエネルギー補給が容易 |
うどん | 200g | 消化に優れた炭水化物 |
焼き鳥(塩) | 80~100g | タンパク質補給 |
前日:糖質を最大限に摂取
- 食事量の目安
炭水化物70%、タンパク質15%、脂質15%。 - 具体例
- 朝食:白ごはん2膳、味噌汁、バナナ
- 昼食:パスタ(トマトソース)、鶏むね肉のサラダ、オレンジジュース
- 夕食:うどん、かぼちゃの煮物、スープ
食材 | 必要量の目安 | 栄養ポイント |
---|---|---|
白ごはん | 200~300g | グリコーゲン蓄積をサポート |
バナナ | 1~2本 | 消化が良い糖質補給 |
かぼちゃ | 100~150g | ビタミンも補える糖質 |
レース当日の食事量とタイミング
朝食
- 食事量
レース開始の3~4時間前に摂取。
総カロリーは300~500kcalを目安に。 - 具体例
- 白ごはん1膳、卵焼き、バナナ1本、スポーツドリンク。
時間 | 食事内容 | 摂取量の目安 |
---|---|---|
3~4時間前 | 主食(白ごはんなど) | 100~200g |
1~2時間前 | 軽食(バナナなど) | 1本 |
30分前 | エネルギージェル | 1~2個 |
注意点
- 食べ過ぎない
胃が重くなると走りに影響を及ぼします。 - 消化の良いものを選ぶ
レース直前の食事では脂っこいものを避けましょう。
避けるべき行動
- 過剰な水分摂取
水分を摂り過ぎるとトイレが近くなり、レース中に困ります。 - 不慣れな食事の試行
レース直前に新しい食材を試すことは、胃腸トラブルのリスクが高まります。
まとめ
マラソン前の食事量は、エネルギー補給と体調管理に大きく関わります。1週間前から計画的に炭水化物を中心とした食事を心掛け、レース当日に向けてグリコーゲンをしっかり蓄えることが大切です。自分の体重や運動量に合った量を摂取し、最高のパフォーマンスを発揮できるように準備しましょう。